三人の子どもが山を歩いている。
日曜の朝 8時をまわったところだ。
すこし上ると きれいに手入れされた孟宗竹がしげり
そこを過ぎると真竹の藪に入る。
真竹の藪を歩くのは、小学校に上がる前の子にはまだ厳しい。
枯れて倒れた竹を小さな足で、やっとこさでまたぎ、くぐる。
「いいか 竹藪では絶対走っちゃダメだ」
真竹の藪や篠竹の藪で走る事がどんなに危ないか知っている者は、竹を取りに行く人間だろう。
この時期 秋になるとそろそろ竹を切る季節に入る。
細かい事を言えば暦や犯土なんかあるが、そこまでは良い。
とにかく竹がいるわけだ。
「父ちゃんが切るからどんどん引っ張り出せ」
竹藪の中から竹を引きずり出すのは、大人でも難しい。
ましてやちびっこが引きずり出すのは、まあ、、
三人で喧嘩しながら、人のせいにしながら、やいやいやっている
「いいから 出せっ」
11月になると言うに藪の中は 蚊がまだたくさんだ。
子ども達は顔中ぼこぼこになっている。
しばらくすると、手分けというのが出来はじめた。
うまい事 やり始めた。
それにしても小さな体で藪の中、竹を引きずる後ろ姿は、何ともいとおしい。
鋸を持たせ枝をはらわす。
「気をつけろよ、鋸の傷は治りにくいからな。」
竹がそろい縄で束ねる。 束ねる。
雨が降ってきた。
「おーい カッパ着ろ」
みなで竹を担ぎ山を下る
また喧嘩が始まる
迷路のように続く藪の中をぶつかりながら、挟まれながら三人で竹を担ぎ、喧嘩しながら歩いて行く。
ぐんっと伸びた山の木の梢から、雨のしずくが ぽたぽたと落ちてくる。
その中を遠く後ろの方で、サルのような声が響いている。
ほっとけば崖のような坂も、喧嘩しながら竹を担ぎ下りてくる。
食うために働く
ただそれだけの話し
そろそろ茶壺の口を切る頃
明日は 四つ目垣だ
- 2012/10/28(日) 19:28:39|
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