庭潤日記

植木屋の日々の出来事

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役代わり



山に向かう なだらか所、

ゆったりと曲がる道、山なみにそって坂も続く。

なだらかになったり急となったり、そして農家があり、畑がその周りにある。



今より百年前のこと、ある農家が分家として新家をつくった

畑を削り平らにし

本家より男衆が集まり、沢より石を担いで運び、石垣をつく

家を建て、くね(生け垣)を廻す



道は荷車が通るほどであったろう

それから五十年もたつと、便利な時代がやって来て道を広げることとなる


道沿いのくねは外され、石積みも角の方が外された

ゆとりのあった家の奧も、狭さを感じるところとなってしまった。


道が広がったとはいえ、車がやっとすれ違えるほどの田舎道

坂は一定となりアスファルト舗装がされている

何の気なしに見てみれば、とてもいい田舎の風景だ



しかし 目をこらすと見えてくる


生けぐね  石垣  細く曲がった道  坂

柿の木もある  せっせと働くお百姓さん


この家の方は、そんな景色が大好きだったようだ

それから また五十年

せめて 奥の間からの景色を良いものとしたい

そんな訳で庭つくりを望まれ、仕事としていただけることとなった。


「うちの竹で穂垣を作り 沢の水を引く」


手水鉢をすえる

縁先手水でも つくばいでもないもの

ただ 筧で沢の水を呼び込む事

お茶事として使うものではない、田舎の水の風情

ただそれだけ



さてさて どんな水鉢が良いかな

石臼みたいな物が良いかな


考えたあげくのこと、

こんな所に大役を待ち望んでいる石がいる

五十年前、石積みより外された石

家の一番隅を守ってきた石

角石の天端石

これはこれは 気がつかずにいて悪いことをした

ちゃんと待っていたんだね


これから先は手水鉢として役代わりだ

もしかしたら 初めから気がついていたのかな



穴を開けてあげると、すっとそこに据わってくれた













竹穂垣と手水鉢















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  1. 2015/08/27(木) 12:08:58|
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