「こんにちは」
小さな おんなの子の声が聞こえた
振り向くと小学校にあがったかどうかのおんなの子が一人で歩いていた
目が輝いている
私は裏通り沿いの生け垣を刈り込んでいた
「何してるんですか」
「何してると思う」
「ん〜 葉っぱを切ってるんですか」
「そうだよ」
「何でそうしてるんですか」
「伸びてきたからね、切ってるんだよ。髪の毛とか爪とか伸びてきたら切るでしょ。
同じだよ、ほら きれいになってきてるでしょ」
「へ〜 すごいですね こういう風にするんですね あ
ここに入っているのは何ですか」
私の腰に下げているハサミを取り出す勢いだ
「これはねえ 枝を切るハサミだよ ほら」
生け垣を刈っている手を止めて、一枝パチッと枝を切って見せた。
おんなの子は、目を まあるくしている
何だか不思議な子だ。
そのこは背が小さい、1年生ぐらいかな
だけども何だか えらくしっかりしている
「何年生ですか」
「まだ2年生です」
まだなのか、と思った
早く次に行きたいのかも知れない
知らないことをたくさん知って大人になりたくてしょうがないのかな
そんな感じがする
それにしても圧倒されるほどのエネルギーだ
どんどんふくれあがってくる
カシカシと進む、刈り込み鋏の中に飛び込んできそうな勢いだ
とうとう 手を伸ばしてきて、生け垣に触れ始めたので手を止めざるをえない
「この葉っぱは 何だかとげとげしていて、あ 痛い」
「そうだね ヒイラギモクセイって言う名前でね 葉っぱが、とげとげしているんだね」
「へ〜 こんな葉っぱもあるんですね すごいですね〜」
一間考えた
ヒイラギだから当たり前だと思っていた
「そうだねえ こんな葉っぱもあるんだね」
そうだよ こんな葉っぱもあるんだ。
急に何もかもが、新しく鮮やかに感じ始めた
この子にはあらゆる物や事が新しく、型なんかにまったくはまっていない
当たり前なんか無いんだ、すべての物が輝いて見えているのであろう
それが伝わってきた
同じような物がたくさんあるように見える
同じような事が繰り返されているような気がする
そんな事はない
すべてが新しく、そして輝いている
その子に教わった
「さようなら〜」
「さよなら」
過ぎ去った方を見ると
「こんにちは」
また 新しい何かがあるんだね
- 2016/07/10(日) 06:25:49|
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